月別アーカイブ: 2016年5月

深まる!感染症の世界的認識

皆さんこんにちは(^^)/
伊勢志摩サミットの開催とともに、テレビでも伊勢志摩の観光特集をよく目にする今日この頃ですね。そんなサミットで、感染症に対する決議事項が表明されましたので、報告したいと思います。(以下引用)

先進7か国(G7)が26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でまとめる首脳宣言の保健分野の骨子案が14日、判明した。

エボラ出血熱など危険な感染症の早期封じ込めのため、世界保健機関(WHO)の能力強化や、途上国の平時の医療サービスの水準向上をG7として支援することが柱だ。新薬の研究開発費を補助することも盛り込んだ。感染症を巡っては、2014年に西アフリカでエボラ出血熱の流行を封じ込めることに失敗し、死者が拡大した。西アフリカ各国の医療体制が十分に整っていなかったことに加え、WHOの初動対応の遅れや態勢の不備が指摘された。サミットでは、こうした反省に立ち、危険な感染症が発生した際の危機対応の強化をG7が主導する姿勢を示す。

具体的には、国連事務総長の下で、WHOと国連の人道援助部門などが連携し、感染症拡大防止に対応することを確認。医療チームを迅速に展開させるために必要な多額の資金を確保するため、初動段階ではWHOの緊急対応基金、感染症拡大段階では世界銀行による緊急資金提供を、それぞれ相互補完的に利用して対応することを推奨する。

また、途上国の平時の公衆衛生を改善することで、感染症拡大を予防することを明記。乳幼児から高齢者まで、適切な予防や治療などを受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」を推進することや、予防接種の対象拡大なども盛り込んだ。

近年、世界的に流行する危険な感染症が目立ちます。国レベルではなく、世界レベルで感染症の対策が行われることが、益々期待できそうですね。

熊本地震被災地における感染症対策

皆様こんにちは。

熊本地震によって、多くの被災者の方々が避難生活を強いられています。そして現在、避難期間が長引くことによって発生する感染症が話題となってきました。これまでの日常とは異なる衛生環境で生活を続ける中で、下痢、発熱、 咳せき などの症状を発症する人がいます。そして、避難所や車中などで多くの人が過密状態で生活することによって、集団の中で感染症の広がる可能性も高くなります。

この度、株式会社ジークでは、被災地の感染症対策として、ステリパワー150ppmを5箱、専用のスフィアボトルを100本提供させていただきました。心ばかりですが、被災地の皆様の健康を守るお手伝いになればうれしいです。

被災地の現場で生活している人にとっては、日常的な感染症も非常に大きなストレスです。できる限り感染症にかからないために、そして感染症を広げないために、今回は「被災地で1人1人ができる感染対策」について考えてみましょう。この記事が、現地で生活されている方々の健康のために、少しでもお役に立てることができれば幸いです。

<日本における災害と感染症>
途上国での大規模災害では、赤痢やコレラ、あるいはネズミが媒介するレプトスピラ症など、特徴的な感染症が流行することがあります。しかし、日本においては、もともとの衛生的な生活環境、そして日常的な衛生教育レベルの高さもあり、そのような感染症が流行するリスクは高くはありません。しかし、通常でも発生している下痢症、呼吸器感染症、そして食中毒については、十分な量の水がなかったり、衛生用品が不足したりすることによって、集団感染がより起こりやすくなります。災害時の感染対策においては、いろいろな制限がある中で、その時、その場所の状況によって、何ができるのかを整理することが必要となります。

<やれることは状況によって異なる>
日常的な感染症対策においては、「手洗い」と「咳エチケット」が基本となります。これらの方法は、いろいろな感染症に有効な、万能の感染対策なのです。しかし、被災後の現場においては、どのような生活環境で、どのような衛生用品を利用できるかによって、できることも違ってきます。特に十分な量の水がないことは、日頃の感染対策とは大きく異なるところです。

被災した時には、以下のようなものが感染対策のためにも役立ちます。しかし、その時期や場所によって、何が準備されているかは異なります。以下では、そのような状況に分けながら、できる対策をまとめていきましょう。
<あると感染対策に役立つもの>
・ウェットティッシュ(アルコール性の方が効果も高い)
手指消毒剤
・マスク
・ラップ
・ビニール袋
・ビニール製の手袋

<被災地での「咳エチケット」>
インフルエンザなどの多くの呼吸器感染症は、「 飛沫ひまつ 感染」でうつります。飛んでいく粒が空気感染と比べて大きいため、咳やくしゃみで口から飛び出しても、通常は1~2メートル以内で地上に落ちてしまいます。飛沫感染においては、距離と方向が大切なポイントとなります。距離が離れていたり、違う方向に向いていたりすれば、飛び出した病原体が直接口などに入ってくる可能性も低くなるからです。くしゃみや咳によってうつる感染症では、本人が人にうつさないように気をつけることが、最も効果の高い予防策となります。感染している本人が気をつけることから、この予防を「咳エチケット」と呼ぶようになっています。

<マスクがない場合>
咳やくしゃみをする時には、少し離れたり、顔の向きを変えたりするだけでも効果があります。よく手で口を覆う姿を見ますが、そうすると手が汚染されてしまい、その手が触れた環境を介して感染が広がる可能性があります。咳やくしゃみをするときには、手のひらで口を覆うのではなく、水平チョップのように肘の裏を口の前にもっていき、「肘の裏でブロック」するようにしましょう。テッシュがあれば、口をテッシュで覆うだけでも大丈夫です。

<マスクがわずかしかない場合>
「うつらない」ように着けるマスクより、「うつさない」ように着けるマスクの方が有効です。咳やくしゃみで口から出る瞬間の飛沫物は、水分を含む大きな粒なので、マスクでブロックすることができるからです。したがって、数少ないマスクは、咳をしている人に着けてもらうようにしましょう。これだけで、感染が広がることを防げます。

<被災地での「手洗い」>
ノロウイルス、ロタウイルスなどの胃腸炎を起こす感染症では、手洗いが重要な対策となります。調理する人が下痢をしている場合には、汚染された手を介して食中毒の集団感染を起こす可能性もあります。また、インフルエンザのような呼吸器などにおいても、汚染された環境に触れた手で、口や鼻に触れることでも感染します。「手洗い」は、多くの感染症を防ぐために有効な対策です。しかし、被災地では十分な水がないために、日常的に行っていた「手洗い」ができなくなってしまいます。この時に意識してほしいのは、口や鼻に触れるのは「利き腕側の指先」が中心だということです。

<水が不足して使えない場合>
アルコール性の手指消毒剤は、殺菌効果も高く有効です。慣れていないと、手のひらだけに塗るようにする人もいますが、口や鼻に触れる指先を忘れないようにしてください。
ウェットティッシュがあれば、それを使って「手洗い」の代用とすることができます。多くの人が一緒に生活しているときには、トイレのドアノブなどが下痢をしている人の手で汚染されている可能性があります。環境に触れる側の手を中心に、ウェットティッシュで拭き取るようにしましょう。ノロウイルスやロタウイルスは、アルコールに抵抗性があります。しかし、指先側から拭き取っていき、最後に裏面でもう一度指先側を拭き取る(利き腕側の指先を二度拭きする)ことで効果も高くなるはずです。

<食事と感染症>
食中毒については、衛生教育を受けた調理師が扱う場所でも、日常的に集団感染が起こっているという現状があります。被災後には、十分な水が使えず、衛生環境も整っていない中で、いろいろな人が調理に関わることになります。そのような状況で、日常以上に食中毒のリスクは高まることは、ある程度はやむを得ないことでもあります。避難所などでは、通常より多くの食事を一緒に作ることが多くなります。これからは、気温が少しずつ高くなっていき、より食中毒が発生しやすい季節となっていきます。食中毒の集団発生が起こらないように細心の注意を払う必要があります。

<水が不足している場合>
下痢をしている人は、調理に関わることを避けるというのが原則です。調理の前には、ウェットティッシで手を拭きましょう。アルコール性の手指消毒剤があれば、殺菌効果が高いので利用してください。使い捨てのビニール製手袋があれば、それをつけて調理すると良いでしょう。
これからは、気温が高くなり、食中毒の菌が増えやすくなります。多くの食中毒は、菌が増えることで発症しやすくなるので、菌を増やさないことがポイントです。食事を、気温の高いところに長く置かないようにしましょう。現在は、鶏肉を介したカンピロバクター菌による食中毒の発生数が多くなっています。鶏肉の調理時には、特に十分に火を通すようにしてください。
食事の前には、指先を中心にウェットティッシュやアルコール性手指消毒剤で拭きましょう。口に入れるのは利き腕側がほとんどです。清潔な手と、不潔な手を意識しておくことも有効です。食器を洗えない時には、ラップを敷いて使うこともできます。

<これから気をつけたい感染症>
今回の地震が発生する直前の、熊本県と大分県における4月上旬時点における感染症流行情報、そして今後の各感染症の流行期を考慮すると、これから発生しやすい代表的な感染症には、以下のようなものがあります。

・インフルエンザは流行期を過ぎたが、まだ散発的に発生している。

・ノロウイルスも減少しているが、暖かくなっても集団感染は起こる。

・ロタウイルスは今が流行期であり、初夏まで発生の多い状況が続く。

・気温が上昇してくる中で、食中毒のリスクが高まっていく。

・初夏へ向けて、子どもの夏かぜが増えていくことが予想される。

・がれきの撤去時などは破傷風のリスクがある。

 今回の記事にまとめた対策は、これらの多くの感染症に対して有効です。一人でも多くの方が、少しでも健康に日々を過ごしていただけることを、心より願っています。