月別アーカイブ: 2015年10月

インフルエンザワクチンについて

秋も深まり、紅葉が美しい季節がやってきました。
寒さも増し、今シーズンすでに風邪をひかれてしまった方もいらっしゃると思います。
風邪の流行とともに、インフルエンザのニュースもたびたび見かけるようになります。
今回は、インフルエンザにかかる前に!ワクチンでの対策と現状をご紹介します。

今シーズンのインフルエンザワクチンの製造量は2900万本余りで、昨シーズンより1割ほど少ないものの、厚生労働省は必要な量を供給できる見通しだとしています。厚生労働省の専門家会議が開かれ、国内4つのワクチンメーカーが製造した今シーズンのインフルエンザワクチンは合わせて2973万本で、昨シーズンより1割ほど少なくなったことが報告されました。これは、ワクチンが対応できるウイルスの型がこれまでより1種類増えて4種類となり、ウイルスを増殖させる原材料の卵が不足したためだということです。

一方、ワクチンの使用量は昨シーズン並みの2600万本程度と予想されていることから、厚生労働省は必要な量を供給できる見通しだとしています。
また、製造工程の確認のため出荷が遅れている熊本市にあるワクチンメーカーの化血研=化学及血清療法研究所のインフルエンザワクチンは、近く出荷される見通しだということです。

インフルエンザの流行に備え、今月から各地でワクチンの接種が始まっています。厚生労働省によりますと、例年どおりであれば12月の初旬ごろから患者が増え始めるということです。流行前に、ワクチンを接種し、正しい予防を行いましょう。

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冬の除菌対策に向けて予習をしましょう!

夏の暑さがおさまり、秋風が心地よい季節となりました。

読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋と、皆様「実りの秋」を楽しんでいますか(^^)?

楽しく秋を楽しむために、秋から冬に向けて注意したい感染症につい予習しましょう。

RSウイルス感染症

1歳までに70%、2歳までにほぼ100%の子どもがかかると言われている、ごくありふれたウイルスです。人生を通じて再感染があって何回も感染する。2回目からはそんなに重くならないということもわかっています。
症状としては、発熱を伴ってゼーゼーする。昔、こういうウイルスがあることを知らないころは、私たちはこれを乳児喘息なんて言っていたんですけれども、実はそうではなくて、RSウイルスの感染症だったということが最近になってだんだんわかってきました。重くなると呼吸困難になって、入院しなければいけないということも非常に多くて、小児医療にとっては、インフルエンザよりももっと厄介なウイルスです。
ただ、ほとんどすべての子どもがかかるということは、すごく軽く済んでいる人もたくさんいるのです。六カ月未満の赤ちゃんで、鼻がジュルジュルして苦しそうと言って外来に来る患者さんを調べると、この時期ではほとんど陽性です。大抵、お母さんが風邪を引いているとか、兄弟が風邪を引いているということでうつされているのです。
この病気は迅速診断キットができてから簡単に診断できるようになりました。ただ、保険の適用がないので、すべての先生がやっているというわけではありませんけれども、非常に役に立つ検査です。かかると中耳炎にかかることが多い、喘息になりやすい子はその後も長い間ゼーゼーするなど、いろいろなことがわかっています。流行することの多い病気ですが軽い人もたくさんいますので、流行しないようにするというのは難しいですね。みんながよく手を洗うとか、いろいろなものをよく拭いておくとかということでしか予防はできないというか、予防すること自体が難しいというふうに思っておいてください。
赤ちゃんではこの病気にかかると、3週間とか4週間ぐらいずっとウイルスを排泄している、そういうようなこともあるのだそうです。うつらないようになるまで休んでください、というのは大変なことになるわけですね。保育園そのものが経営できないということになってしまいますので、こういう病気があるということを知りながら保育をすることがとても大事だろうと思います。

インフルエンザ

 インフルエンザはいまちょうど流行ってきて、私のところでは今週から急にパッと増えてきましたけれども、よく聞かれるのは、今年の予防接種は、今年流行っているインフルエンザのウイルスにちゃんと合っているかということです。ワクチンというのは、ここ十何年は、Aソ連、A香港、Bという3種類を入れてありますので、これが外れるということはないのですね。
ただ、インフルエンザのウイルスは、毎年毎年、ちょっとずつ変わっているのです。モデルチェンジし続けるウイルスなので、つくったワクチンはそのウイルスにぴったり合ったものができていないわけで、そのズレが大きいとあまり効かないのです。また、血液の中にウイルスが入れば抗体は効くのですけれども、鼻の粘膜にウイルスがついたばかりのときには予防注射でできた抗体は効きません。インフルエンザは鼻の粘膜につくとすぐに症状をおこしますので、打っていても発病してしまう人がたくさんいるというのも現実です。ただ、ほかに防ぐ方法がありませんので、アメリカなどは、インフルエンザのワクチンを小さい赤ちゃんにも打つということを積極的に勧めています。日本では、いろいろな意見がありますけれども、私はやはり打ったほうがいいのかなというふうに思っています。
迅速診断キットでどんどん診断できるようになりましたので、鼻水だけ出していて熱のない赤ちゃんがインフルエンザだとわかることもあるわけです。家

ロタウイルス・ノロウイルス感染症

 ロタウイルスとノロウイルスというウイルス性の胃腸炎です。これも大きな問題です。ノロウイルスは大体秋から流行ります。11月ぐらいから流行って、熱はそんなに高くはないですけれども、突然吐いて、下痢は、次に出てくるロタよりは軽い、ということが多いです。最近、これを調べる迅速診断キットも出てきましたけれども、まだ保険適応はありませんので、実施している医療機関は少ないと思います。ノロウイルスは時に大流行を起こすことがあります。特に集団で起こるのは、吐いたものをよく拭いておかないと、それが乾燥してウイルスが空気中に飛び散ることが大きな原因になると考えられています。ウイルスが部屋の中を回るようになって、部屋にいる人全員がかかってしまう。あたかも食中毒みたいな感じで流行ることがあります。
ロタウイルスは、便が白っぽくなって、昔は、コレラみたいな感じだったので仮性コレラと言われたものですけれども、これは2月くらいからだんだん多くなります。大抵高熱が出て、まず、ものすごい勢いで吐いて、そのあとに、米のとぎ汁様のお水みたいで白っぽい便が長く続きます。非常に脱水になりやすくて、点滴をしたり入院したりということが多い病気です。感染力は強いです。ほかの病気で入院しているときに、この患者さんが入院してくると、病院の中でこの病気をもらって帰ってくるという人がよくあります。アメリカではこれに対するワクチンがもうできて、実際に使われるようになってきました。日本もそのうち使われるような時代が来るかもしれません。

溶連菌感染症

 最後に、溶連菌ですけれども、これだけは原因がウイルスではなくて細菌です。昔は発疹がいっぱい出て、猩紅熱と言われた病気ですけれども、軽いものもあって、なかなか普通の風邪との区別が難しいです。流行してきたら、流行していることを園の人にぜひお知らせしていただきたいと思います。病院に来て、私たちがノドを診るとある程度わかりますけれども、外見からでは区別がつきませんので、集団生活での流行状況の情報が役立つのです。これも迅速診断キットがあって、ノドを調べるとはっきりと診断ができる病気ですので、見逃さないようにしたいものです。

最近、頻繁にニュースになる病名ばかりですね。正しい知識と正しい対策で健やか毎日を送りましょう。c